18番街
石垣島の市街地に18番街という区域があります。妖しげなスナックが立ち並び、場末の酒場といった雰囲気が漂っている。看板と扉があるだけで中は見られない。今はさびれた裏通りですが、バブル期は一番の繁華街でした。現在はその隆盛を美崎町に譲っています。この(2018年前後の)2年で、3店舗が店を畳みました。斜陽の区域ですが、40年前の風情をそのまま残しています。そこに通うことにしました。
本編は18番街にあるスナック全14店舗に出入りし、店内とママたち、集う人々を写したものです。重たい扉を開けると、そこには14種類の異世界がありました。
撮影期間 2018年4月 ~ 2018年12月
Epilogue
最近こんな夢をよく見る。石垣島の夜の街を飲み歩いている。けれど、実際には存在しない飲み屋街なのだ。なじみの店で飲んでいることもあるのだが、広さや飾ってあるものがどこか違う。
そんな夢の中のお店は、外の世界から完全に切り離された空間として現れてくる。次のお店にジャンプしていることもある。そこも外界から隔絶されている。まるで宮崎駿監督の映画に出てくるお店のような感じだ。
18番街のスナックの隔絶感は、夢の中に出てくるお店に近い。扉を開けた瞬間に内の世界に引き込まれ、外の世界のことを忘れてしまう。14店舗あるスナックは、14人のママの世界だった。店内は、南国らしいどぎつい色の造花や大きな観葉植物、ママが収集した飾り物でいっぱいだった。 それぞれが独特の世界観を持っていた。一晩に2、3店舗をはしごする感じも、ジャンピングする夢にどこか似ていた。
スナック巡りは14人のママを全員写し終えて、ひと段落つけた。不思議なことに、夢に一番近いお店にあれだけ通ったのに、番街のスナックで飲んでいる夢をまだ見たことがない。